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■ シャトー・ド・ポマール現オナー、ムシュ・ジローとの会見および、在庫処分至る過程の問題について

先週4月2日に渡仏し、シャトー・ド・ポマールの現オーナーに会見をしてきました。
会見の目的は、一部、ネゴシアンからシャトー・ド・ポマール1998年がかなり安く供給されるという情報を掴んでいたため、その真偽を確かめるためでした。

一部のネゴシアン、ブローカーからの情報では、エチケットに「Chateau de Pommard (シャトー・ド・ポマール)1998 Compte de Peluse(コント・ド・ペリューズ)」と記載されているもので、中味は、シャトー・ド・ポマールと同じである。「Compte de Peluse(コント・ド・ペリューズ)」とは、他の高く販売されているシャトー・ド・ポマールと区別するために作られたプラーベート・ラベルである、と言われていました。

 しかし、ここでひとつ疑問が生じます。というのは、Compte de Peluse(コント・ド・ペリューズ)とは、シャトー・ド・ポマールのセカンド・ワインの商標であり、尚且つ、このセカンド・ワインには、「Chateau de Pommard(シャトー・ド・ポマール)」とは通常、記載されておらず、単に「Pommard (ポマール)Compte de Peluse(コント・ド・ペリューズ)」と記されているだけなのです。(つまりセカンド・ワインのコント・ド・ペリューズのラベルからは、シャトー・ド・ポマールのワインだとは分かりまえせん。)
 はたして、「Chateau de Pommard (シャトー・ド・ポマール)1998 Compte de Peluse(コント・ド・ペリューズ)」なるワインは、実際にシャトー・ド・ポマールから出荷されたものなのか?はたまた偽物か?

 こうした疑問を持って、4月4日(月)シャトー・ド・ポマールのオーナー、ムッシュ・ジロー(GIRAUD)に面会を求め、真偽を確かめに行きました。
 ムッシュ・ジローから次のような説明を受けました。シャトー・ド・ポマール1998年は、昨年から醸造責任者として迎えているジュブレ・シャンベルタンの造り手であるシャルロパンと相談した結果、セカンド・ワインに格下げした(declasser)。だから、現在は、ファーストである「シャトー・ド・ポマール」は、1本も在庫がなく、全ての1998年は、セカンド・ワインのみである。(一般のシャトー訪問客に販売するワインリストを差し出しながら彼はこう言いました。そこには、事実、1998年のシャトー・ド・ポマールの在庫はなく、セカンドワインのコント・ド・ペリューズのみ記載されていました。)また、ファースト・ラベルである「シャトー・ド・ポマール」は、通常、厚みのある重いボトル(クラシック・ボトル)に詰められており、セカンド・ワインは、スリムなボトル(一般的にブルゴーニュで現在使用されているボトル)を使用しているが、今回は、ボトルを詰めなおすには、コストがかかるので、クラシック・ボトルをそのまま使用して、セカンド・ワインとして販売した、と。

しかしながら、このような彼の主張は、消費者に大きく混乱を与えるものです。

まず、1998年の格下げされたセカンド・ワインのコント・ド・ペリューズには、シャトー・ド・ポマールの従来の風格あるラベルに「Compte de Peluse(コント・ド・ペリューズ)」という文字が追記されており、一見すると、上級の特別キュベに見えてしまうということ。そして、さらに、「Compte de Peluse(コント・ド・ペリューズ)」は、セカンド・ラベルであることを明らかにせずに販売する業者が存在することは、より混乱に拍車をかけるものです。  また、シャルロパンが98年を試飲して、格を落としたといいますが、他のヴィンテージのワインをわれわれが比較して試飲するとき、それほど大きな品質の差は感じられません。要するに、在庫を大量に処分したかったということがオナーの真意ではなかったのか、と推測しえます。

そして、さらに2002年に関しては、「Pommard (ポマール)Compte de Peluse(コント・ド・ペリューズ)」という従来のセカンド・ワイン用のラベルは姿を消し、セカンド・ワインもファースト・ワインも同じ「Chateau de Pommard(シャトー・ド・ポマール)」というラベルになっています。このボトルを見せられたとき正直いって驚きました。ファーストとセカンドの違いは、ボトルがクラシック・ボトルか一般的なボトルかの違いのみです。これでは、消費者は、区別がつかないでしょう。おそらく、ムッシュ・ジローの頭の中には、ファースト・ワインの価格を下げつつ、セカンド・ワインもシャトー・ド・ポマールとして売り出すことにより、より販売を促進することが、そして、将来的には、セカンドとファーストの区別をなくすことがあるのだと思います。しかし、このことは、これまでの高品質を維持してきたシャトー・ド・ポマールの伝統をかなぐり捨てるものです。(これまでセカンド・ワインにシャトー・ド・ポマールの名を冠することをしなかったことの意味をムッシュ・ジローは、まったく理解していない!)おそらく近い将来、シャトー・ド・ポマールの品質は大きく低下することは間違いでしょう。

 昨年、シャトー・ド・ポマールを50億円以上もかけて手に入れ、ヘリコプターでジュラ地方の邸宅からシャトー・ド・ポマールに降り立つムッシュ・ジロー。中庭には、サルバドール・ダリの彫刻が鎮座しています。彼は、確かに、昨年、大金を掛け醸造設備を一新し、シャルルパンを醸造責任者として迎え入れました。

 しかし、残念ながら、ムッシュ・ジローに、私は、彼のワインにたいする愛情を感じるとることができませんでした。最近、シャトー・ド・ポマールがピリニー・モンラシェの畑を入手したことを、ジャーナリストに「モンラッシェを手に入れた」といって、自らのワインにたいする無知と愛情の欠如を明らかにしてしまったムッシュ・ジロー。彼は、また、現場で働く人々(彼らの手によってワインは造られ、品質は維持される!)や、ワインを愛する消費者のことも眼中にないことが、明らかです。

 生産者のワインにたいする情熱とそれを受け止めるワイン愛好家の橋渡しとして私は、自分自身の仕事を位置づけてきました。今年の2月にシャトー・ド・ポマールの栽培責任者ドミニク氏を囲む会を実店舗において開催してのもそのためでした。しかし、今回のオーナーとの会見を通じ、限界を感じざるを得ません。
 それゆえ、今回、私は、手持ちの在庫を処分し、シャトー・ド・ポマールの販売を一時停止しようと考えました。今後については、価格と品質を見極めてから決めてゆきたいと考えております。

以上です。
 2005年4月13日(ワイン専門平野弥 平野 光昭)
2005/06/11(Sat)<

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